人は生き物、経営はその生き物を扱う生業。
商いは市場があってこそ成立、この市場も
得体のしれない生き物。
生き物は多彩であり、行動パターンも複雑。
業界的な言葉を拝借すると生き物は変化点が
多いから常にトラブルがつきまとうことになる。
商品開発は、明確な仕様書があれば既知の事実を
原理原則で数値化していけばそれなりに出来上がる。
この売れると思い込んだ商品を得体のしれない市場で
受け入れてもらわなあかん。
2008年入社のCOO、ここからが目立った出番が
始まった。
リーマンショックで財務状態が悪化、だけど販売を
回復しないといけない。
「センスが悪く、高い費用がいる大阪の業者から
浅草の専門業者に任せましょう」「不良が出ないなら、
ゼロと言い切りましょう。中途半端な表現では駄目です」
いきなりの提案に首肯するしかないCEO、こうして
REAL ZEROはんだ付ロボットのブランド化が始まり、
展示会での広報活動が成果を上げるようになった。
「ものづくりの街東大阪と言っても人が集まりません。
はんだ付評価でご来社のお客様も1時間位のロスです。
昔、社長は難波でのものづくりと言ったでしょう。
海外から、忙しいVIPご招待含め難波に評価室を
作りましょう。
物件は3つほど揃えております、見てください。」
2014年、難波工場を竣工させ、年商20億円に向けて
の飛躍に必要な橋頭堡(きょうとうほ)を築いた。
これだけでは留まらず、東大阪では大阪市内への
本社移転のために足を棒のようにして探し、
今の上町FABを4年後の2018年に射止めた。
これで終わるかと思われた2022年、難波工場立ち退き
の話が出るや否や、ウメキタ物件を探し出し上町FAB
をテクニカルセンターに、ウメキタを本社にと言う提案。
「直ぐに用意できる現ナマはあるんか」と質すCEO。
「はい」鸚鵡返しのCOO。
大手不動産仲介業者「現ナマあるのですね凄い!
早速商談し、手に入れましょう。」トントン拍子は、
近隣での物流倉庫まで及んだ。
「そんなええ物件ないで、高いし」と後ずさりするCEO。
それがあったんですね、いい物件が、先手必勝を旨と
する度胸に脱帽。
賃貸ビル1階に入居した中津LOGIX、この3月1日には、
販売増に伴い3Fも賃貸契約し、増床を行った。
ちょこっと振り返るだけで「ああしんどう」である。
それにしても法人保有の上町、梅田本社取得の資金
併せて6億円をどのようにしてため込んできたのか。
2015年に税務調査が入った「こんな珍しい社長は見た
事が無い」と元国税にいた調査官が会いに来てくれた。
「接待交際枠を全然使っていません、儲かっていれば
目一杯社長が使いはるんですがね」と驚愕の質問。
傍でニコニコ笑う財務担当のCOOと会計税理士顧問。
「会社に必要な経費しか使えない・・、いや使わないので
す」と返事。お察しが付いた調査官。
今期も損金算入できる接待交際費の上限800万円ある
のだが20%位しか使っていない。
これを見ても生きる金しか使わない財務担当役員。
経営の中での変化点を極力増やさないシンプルな方針を
打ち立てるCOO、残業ゼロはそのもっともたるものである。
次週に続く。