「こんにちわ」
エレベータホールでお若き女性から声を掛けら
れる。
「あっ、こんにちわ」
かごの中でご一緒するのはと気が引けて扉が
閉まったことを確かめて対面エレベータの上向
き三角ボタンを押した。
「しまった!」ボタンを押すのが早かった、女性
が再び現われたではないですか。
「どうぞ、お乗りになってください」と優しくお声
掛けをしてもらった。
「すみません、お言葉に甘えて」
「かまいませんよ、どうぞお気になさらないで」
7階で停止、ドアが空いた。
「お先に失礼します」と会釈しフロアへ。
「X▽〇*・・・」舌がもつれる。
「又、よろしかったら一緒にお乗りください」
「あっ、ありがとうございます」
本社がある32階で降りたのだが、今度は足
がもつれこけそうになる。
上品な顔立ちでブルーの帽子と制服、ワイン
レッドのリボンにTVのマナー教室でしか聞いた
事が無かった言葉遣い。
河内育ちの68歳がいかに育ちが悪いかを実
感、修羅場を幾度も潜り抜けてきたがこれほ
ど緊張した事はなかった。
そりゃ、舌も足ももつれるわ。
歳の差60位の小学生に我を忘れるぐらいの
衝撃をいただいた。
まだまだやなぁ、古希前親父。
大阪の未来は明るい。