幾度も糊口(ここう)を凌(しの)ぎながらものづくり業界
にしがみ付いて来た。どん底から坂の上を目指し、這
い上がるのだが、道半ばで転げ落ちる。いつまでも峠の
先を見ることができなかったが、何故かしら再びの燃え
上がりにいつも萎えた体を動かされる。
世代をまたぎながら職業人としてのいよいよこれが最後
の挑戦かと五十路を超え終(つい)を覚える。
中鉄工所(プレス機械)からナカテック(産業機械)へと
転身したのが三段跳びとするとHOP、30代の志。
1995年にPARAT DOを創業し、携帯電話のカメラレ
ンズ事業でブレークしたのがSTEPで40代の再起。
なんでもええから世に残るブランド商品をと最後の一意
専心で選んだのが車載部品業界向けノズル式はんだ
付ロボットに乗り出したのは50半ば、「老人JAMP」を
ようやく読む事が出来るようになった。
HOP、STEP、JAMPには必ず暗い時代背景が投影し
ている。HOPは戦後の復興からの高度経済成長に支
えられるがバブル崩壊で一気に経済破綻を来す。STE
Pは、阪神淡路大震災から始まりリーマンショックで奈落
へ。リベンジで飛躍を願ってから3年目に東北大震災。
結果、強(したた)かに生きることを学んできた。
<超優良企業になるまでの危険な賭け2>
一品一葉の受注設備メーカであればお金と人材がいくら
あっても足りたり余ったりのギャンブル。
マーケティングや開発に資金投資ができる定番(標準)商
品の必要性を渇望したときに舞い込んだ携帯電話のカメラ事業・・・・・。