回顧するのだが、昔を懐かしみ良かったなぁと懐古することはない。
危険を冒し、潜り抜けてきた中での過ちを後悔して残念
に思う「悔恨(かいこん)の情」を常に持つ。
暗闇の中で、もがくばかりでは睡眠もとれなくなり、
明日が消し去られる。
暗闇の夜は明ける、その先に見えた一瞬の光が極上の
喜びとなり情熱が沸き立ち、聳(そび)えたつ山に挑む。
バブル崩壊でナカテックは過去のものに、PARATとして船
出して5年、新たなる事業の核がなく悶々としていた200
0年、PANASONICが「破壊と創造」と言う名の大リストラ
による事業再生を断行した。ナカテック時代にお世話にな
った方々も社外に放たれた。松下に入れば一生糧は得
られると思われたがビジネスには寿命がある事を思い知らされた。
リストラされ家族で涙したお客さんが携帯電話カメラレンズ
事業会社の生産技術者として職に就いた。
「樹脂レンズ事業の自動ゲートカット機考えているのだが手
伝ってくれませんか」の夜の飲み仲間羽生和美さんからのホ
ットラインでゼロからのチャレンジが始まった。
バブリーな携帯電話事業、今度こそは50年、100年の計
で商いができることに一筋の光を見出し、一攫千金を胸の
内に秘め設備構想をお絵描き。
量的・質的能力を明確にし、ネック工程を洗い出す。
キズ・バリ無く精度良くポリカ樹脂を熱切断し、
パレットに整列していく、大敵は静電気。
具体的な設計とモノにして行く事に長けた実弟中岩男を中
心に数名の技術者が形にしていき見事にラインに導入され
ビッグビジネスとして数年で数億円の事業として成長した。
併せて、PANAから放たれた山下英二さんからCIFレンズユ
ニットに始まり世界初のMEGAレンズ全自動組立機と立て
続けに世に出し年商6億円までに膨れ上がった。
樹脂成型屋であったお客さん、莫大な投資を借り入れで
賄ってきて上場を目指すが自転車操業には限界がある。ファ
ンドに売却することをオーナーが決断。一社に一意専心していたPARAT、
あっという間に暗雲が垂れ込める。
そんな中、オファが来たのがサムソン、相手はしていけないグローバル企業からの
5億円に及ぶ全自動組み立てラインに手を出してしまった。
今まで、日本の優秀な生産技術者からの依頼の中で
ブルーオーシャンと思っていたが巨大ザメサムソンには通じなかった。
<超優良企業になるまでの危険な賭け3>
設備の工程能力が出せない、納期がズルズル延びていく。
交渉の場で「あんたたちに売る設備じゃない」1億円の損切を迫られ・・・・・る。