22**PARATウイクリーハプニング**2022
かしましいOLの方々の会話が初老の 耳に届けられる。
かしましいOLの方々の会話が初老の 耳に届けられる。
「赤ワインにバナナは合わないですよね」と眼鏡を掛けた中堅のOL。
女性役員主催の女子会のようだ。
バナナを剥きながら顔面に血が上ってくるのを覚え、すぐさま45度身体を回転させ彼女たちの視線から身を逸らす。
モンキーバナナで2015年赤ワインを嗜み「結構合うやん」と思っていた矢先の出来事。
ベテランが新卒に「バナナなんか食べないで本日のイチゴフェスティバ ルケーキを食べた方がいいですよ」と昭和人にアドバイス。
朝食を摂らず昼食はおにぎり一個でウエイトコントロールをし、たまにバナナで口凌ぎしている関係上、
甘味が詰まったモンキーバナナがケーキ以下であることに悲しみを覚える。
フィリピン産ミニバナナ、正式名称はセニョリータ(スペイン語で女性)。
フィリピン産ミニバナナ、正式名称はセニョリータ(スペイン語で女性)。
バナナの香りは若いビンテージワインと似通っていると言われ、意外なことに白でなく赤の方に香りを寄せている。
コンポートとしても相性がいい。
「そらみてみぃ、合うやんかである」舌に自信がないのか翌日のネット情報で溜飲を下げる。
「そらみてみぃ、合うやんかである」舌に自信がないのか翌日のネット情報で溜飲を下げる。
「昭和人にとってバナナは高級品」
昭和後期の人達には大衆果実なのであろう実は、耳を澄ませれば真逆のようだった。
「いつでも食べれるものより、季節物スイーツを」と先輩が新人に助言していたのだった。
赤ワインの餌食として蝦夷鹿にタレを 絡ませ口腔内で咀嚼。
「脂身が無い、旨さ」時間差で食する隣のOL達、
「ソースが美味しいね」グラスの中でワインを躍らせながらぐいぐいと喉越しするもう一人の新人。
「なにゆうとるんや、お多福や、ブルドッグみたいなお好みソースとちゃうで」とこれも口腔内でブツブツと咀嚼。
「・・・・・・?」ここは大阪鶴橋でない、焼肉でもない、フレンチソースが浮かば無かった。
「なにゆうとるんや、お多福や、ブルドッグみたいなお好みソースとちゃうで」とこれも口腔内でブツブツと咀嚼。
「・・・・・・?」ここは大阪鶴橋でない、焼肉でもない、フレンチソースが浮かば無かった。
お洒落なバイキング会場で活発なOL話しに耳をそば立て、一人突っ込みしながら平和な2時間程の癒し空間に身を任せる。
この僅かな時間こそ明日の活力。
9時を過ぎれば繁華街もターミナルも人波が引いてしまう。
寒風を避けるためにジャケットの襟を立 て家路を急ぐ、ジングルベルが微かに流れる夜の街に賑わいはない。
今しばらく長い長い冬が続くが、冬が終われば必ず春が来る。
と自分に言い聞かせながら睡魔と戦う環状線。
と自分に言い聞かせながら睡魔と戦う環状線。