社外からの電話は一本もない。
お客様がいない間に、積み残しの仕事をやっつけようとした
スタッフの出鼻を挫く8月15日に台風7号襲来。
因みに、7号の名前は「Lan/嵐」、米国が提案したと言う、
6号はタイが提案した「Khanun/果物」。
河内山本駅までは人っ子一人いない8時、
盆でも台風でも都心に出掛ける人々が
準急発車時刻に合わせホームに三々五々集う。
一人じゃない事に安息を覚え、
口には出さないが「お疲れ様」と呟く。
大阪上本町で下車し、電光掲示板を見上げれば
真っ黒、ダイヤが消失した。
昔から近鉄はストもしない、台風でも運行する事で
名を馳せていたがどうしたことか、
早い目に全線運転見合わせのようだ。
スタッフ5名が出勤不可、阪急や地下鉄利用者が
多い事が幸い。
5階から見る道路には人っ子一人いない。
暴力的な風が窓を打つが涼しくもあり
静か、快適に仕事をさばいていける
贅沢さを味わう。
午後から、帰宅困難者を調査し、経営企画が
手を打つこととなったが、全員帰れますとの
連絡がCOOから入る。
「えっ、近鉄利用のわたしゃ帰れませんよ」と質したのだが。
「社長は、タクシーでいつでも、どこへでも帰れるでしょう」
と、無情にも電話が切られた。
運行復活を願い近鉄の運行状況を覗く。
「運転再開は台風通過後に安全確認を行なった後」
よっしゃ!なんとかなる。
ランチタイムに盆と台風が来ても営業する
不埒なお客を常連としているオーナ経営の
店をネット検索。
悉く商業施設内は降参状態で昨日までに
全館休業を決めつけている。
天邪鬼だからこんな日だからこそ、
宿木に止まり風雨をアテ(肴)に一献傾ける、
乙でなないか。
狙いは、こんな日にでも五臓六腑に
英気を注入しようとする輩が徘徊する街
「京橋」「鶴橋」「十三」に狙いを定める。
阪急が動いている、本社に野暮用で出掛けるのでまずは
「十三」に狙いを定め、WEB上で匂う店数件をTEL、ビンゴ。
18時から岩ガキ、肝和えしたハゲ刺し、たまごを
アテ(肴)に、和歌山産のお酒「黒牛」をペアリングし、
時を美味しく刻む。誰もいなかったお店、
「こんな台風でもお越しいただいておおきに」大将が
幾度も幾度も声を来客にお声掛け。
カウンターは一杯になり、小上がりの座敷も瞬く間に商売繁盛。
全て常連、狙い通り、いいお客さんに支えられている。
「沢山食べていただきありがとうございます」「こちらこそ」
女将と暖簾に見送られ阪急十三駅に舵を取る。
JR環状線、近鉄大阪線全ての帰路ルートの
都市機能が復活、21時過ぎには床に就き、
反省することもなく白川夜船。